薬学科のカリキュラム編成の考え方

 皆さんが大学に入学してから卒業するまでには、多くの科目を履修してその内容を修得しなければなりません。日本薬科大学薬学部薬学科においては、6年間にどのような科目をどのような順序で学ぶかについて教務委員会を中心に検討し、以下のような観点からカリキュラムを編成しています。
 本学では、建学の精神および教育理念に基づき学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー(DP)注1)が定められています。6年間のカリキュラムは、このポリシーの内容を実現するために定められたカリキュラム編成の方針(カリキュラム・ポリシー(CP)注2)を基本として編成されています。さらに、6年制薬学部においては、卒業時に薬剤師としてふさわしい基本的な資質や能力注3が身についているかどうかが重要です。そのために、全体の7割程度は文部科学省から提示されている「薬学教育モデル・コアカリキュラム」に準拠した専門科目になっています。残り3割程度については、薬学導入科目や教養科目を含む独自科目になっています。このため、巻頭では薬学科のカリキュラムの概要の他、薬学科カリキュラム・マップ、卒業時に求められる総合的目標達成度、GPA制度について掲載し、皆さんがこれから学んでいく6年間のカリキュラムの全体像、学修の進捗状況を自ら評価するための指標、成績の数値化について説明しています。学習を継続して成果を出すためには、1歩1歩確実に前に進んで目標に向かうことが重要です。皆さんは、これらの資料に目を通して、6年間の学習で自分がどこに向かっていくかをよく認識して下さい。皆さんの学習のために、これらの資料が道標となることを願っています。

注1)ディプロマ・ポリシー(DP)

日本薬科大学は、学園の建学の精神「個性の伸展による人生練磨」を基本理念とし、薬学科においては、6年間の教育課程を修了して所定の単位を修得することにより、以下の力を身につけた学生に対して学位を授与します。

  1. 知識:薬に関する基本的知識に加え、生活習慣病の治療と予防、セルフメディケーションおよび臨床に関する専門的知識を修得している。
  2. 技能:医療の現状について理解を深め、社会や他者と適切なコミュニケーションを図りながら、薬学の専門家として医療に積極的に参画できる実践的能力を修得している。
  3. 態度:患者や生活者の立場に立って、豊かな人間性と生命の尊厳について深い認識をもち、自ら考え、医療人として責任を持った行動を取ることができる。
  4. 問題発見・解決力:薬学の専門家として教育・研究を遂行する意欲と態度を持って自己研鑚に励み、思考力・判断力・表現力を身につけて、問題を解決することができる。
  5. 統合医療の理解と実践:西洋医学とともに、日本の伝統医学である漢方医学の考え方を取り入れた「統合医療」を理解し実践できる知識と技能を身につけている。

注2)カリキュラム・ポリシー(CP)

 日本薬科大学は、学園の建学の精神「個性の伸展による人生練磨」を基本理念とし、薬学科の教育目標を達成するために、以下の方針に基づいて6年間の教育課程を編成し、教育を実践します。

  1. 教育課程は、薬学教育モデル・コアカリキュラムに即した授業科目を約7割、統合医療をはじめとする本学独自の授業科目を約3割として編成する。
  2. 低学年の薬学導入教育科目、基礎薬学教育科目から高学年の医療薬学の内容を主とする臨床薬学教育科目へ体系的に順次性をもって学修するように編成する。
  3. 見識ある人間としての基礎を築き、医療人として必要な人間性や知性を養うために、1年次に教養科目を置き広く選択できるようにする。
  4. 専門性を深めるために、健康薬学、漢方薬学及び医療薬学の3コースそれぞれの独自科目を置く。
  5. 全学年にわたって医療人教育を行ない、特に1~4年次においてはヒューマニティ・コミュニケーション科目において医療人としての基盤教育を実施する。
  6. 医療安全教育を実施するとともに、生涯学習の意欲醸成のための教育も実施する。
  7. 1年次から卒業時まで継続的に英語教育を行い、特に1~2年次においては少人数クラスで実施するとともに、「読む」「書く」に加えて「聞く」「話す」教育も実施する。
  8. 講義内容の理解を深め専門的な技能を身につけるために、低学年から高学年まで順次性をもって実習科目を置く。
  9. 成績評価は、科目の特性に応じて適切かつ多様な評価方法と基準を設ける。

注3)薬剤師として求められる10の基本的な資質

豊かな人間性と医療人としての高い使命感を有し、生命の尊さを深く認識し、生涯にわたって薬の専門家としての責任を持ち、人の命と健康な生活を守ることを通して社会に貢献する。6年卒業時に必要とされている資質は以下の通りである。

(薬剤師としての心構え)
 薬の専門家として、豊かな人間性と生命の尊厳について深い認識をもち、薬剤師の義務及び法令を遵守するとともに、人の命と健康な生活を守る使命感、責任感及び倫理観を有する。
(患者・生活者本位の視点)
 患者の人権を尊重し、患者及びその家族の秘密を守り、常に患者・生活者の立場に立って、これらの人々の安全と利益を最優先する。
(コミュニケーション能力)
 患者・生活者、他職種から情報を適切に収集し、これらの人々に有益な情報を提供するためのコミュニケーション能力を有する。
(チーム医療への参画)
 医療機関や地域における医療チームに積極的に参画し、相互の尊重のもとに薬剤師に求められる行動を適切にとる。
(基礎的な科学力)
 生体及び環境に対する医薬品・化学物質等の影響を理解するために必要な科学に関する基本的知識・技能・態度を有する。
(薬物療法における実践的能力)
 薬物療法を総合的に評価し、安全で有効な医薬品の使用を推進するために、医薬品を供給し、調剤、服薬指導、処方設計の提案等の薬学的管理を実践する能力を有する。
(地域の保健・医療における実践的能力)
 地域の保健、医療、福祉、介護及び行政等に参画・連携して、地域における人々の健康増進、公衆衛生の向上に貢献する能力を有する。
(研究能力)
 薬学・医療の進歩と改善に資するために、研究を遂行する意欲と問題発見・解決能力を有する。
(自己研鑽)
 薬学・医療の進歩に対応するために、医療と医薬品を巡る社会的動向を把握し、生涯にわたり自己研鑽を続ける意欲と態度を有する。
(教育能力)
 次世代を担う人材を育成する意欲と態度を有する。